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HekaBioとAlpha Tau Medical、固形腫瘍治療機器「Alpha DaRT システム」が日本で製造販売承認を取得

  • 20 時間前
  • 読了時間: 10分

~切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部がん治療に新たな選択肢を提供へ~



  • Alpha Tau Medicalの固形腫瘍治療機器である販売名「Alpha DaRT システム」が日本で製造販売承認を取得

  • アルファ粒子線を用いた腫瘍内治療により、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部がんに対する新たな資料選択肢を提供

  • アルファ粒子の飛程が極めて短く、治療の局所性が高いため、周囲の健常組織への影響は限定的



ヘカバイオ株式会社(本社:東京都中央区)は、Alpha Tau Medical Ltd.(本社:イスラエル)が開発した固形腫瘍治療用医療機器である販売名「Alpha DaRT システム(Diffusing Alpha Radiation Therapy)」承認番号30800BZI00007000が、日本国内において承認されたことをお知らせいたします。当社は選任製造販売業者(DMAH:Designated Marketing Authorization Holder)として承認取得プロセスを担当し、今後、日本市場での販売を担います。


今回の製造販売承認により、日本はイスラエルに次ぐ世界で 2 番目の承認国となります。本品の使用目的は、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部がんの治療です。

従来治療の選択肢が限られていた症例に対し、本品が新たな治療選択肢となることが期待されます。

承認取得にあたり、国内治験にご協力いただいた伊丹純先生(治験当時:国立がん研究センター中央病院、現在:新松戸中央総合病院)をはじめ、医療関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。


Alpha DaRT の治療概要・作用機序

「Alpha DaRT システム」は ラジウム224(1)(Ra-224)をステンレス製チューブに結合したシード線源を腫瘍内に挿入し、ラジウム224 とその娘核種が放出する アルファ粒子が腫瘍細胞の DNA 二本鎖切断を誘導することで治療効果を発揮する医療機器です。


製品の構成と使用方法
製品の構成と使用方法

治療の流れ

  • 腫瘍内に Ra-224 シード線源を一定間隔(5mm 以下)で配置

  • Ra-224 から生じる娘核種(Rn-220(2)、Po-216(3)、Pb-212(4) など)が腫瘍内で崩壊

  • その際に放出されるアルファ粒子が腫瘍局所に高い線量集中性をもたらす


アルファ粒子の飛程が短いため、周囲健常組織への影響は限定的とされています。

       

作用機序

アルファ粒子を放出する Ra-224 シードを腫瘍内に留置し、アルファ粒子による DNA 二本鎖切断を介して腫瘍細胞の細胞死を誘導する局所治療法です。


特長

  • アルファ粒子による DNA 二本鎖切断により、腫瘍細胞の修復が困難となり細胞死を生じます。

  • アルファ粒子の飛程が極めて短いため、治療の局所性が高く、周囲の正常組織への影響は限定的です。

  • Ra-224 の娘核種が腫瘍内で拡散し、腫瘍内にアルファ粒子を及ぼすことで治療を可能にしています。


作用機序
作用機序

ポイント


  • Ra-224 は半減期が約 3.6 日と短く、シード線源の放射能も 74 kBq と小さいため、放射線管理上の配慮がしやすい設計となっています。また、本治療はアルファ粒子による DNA 二本鎖切断を介した腫瘍内治療であり、臨床成績では奏効が確認されています。

  • アルファ粒子の飛程が極めて短い特性により、周囲組織や遠隔部位への放射線の影響は限定的で、外部被ばくは非常に低く抑えられます。


コメント



「今回の国内治験を通じて、Alpha DaRT システムの可能性が実証されたことは、がん治療における大きな前進です。従来の治療で効果が得られなかった患者さんに対し、これまで実用化が困難とされてきたアルファ粒子線による本治験対象である頭頸部領域において固形がん組織内照射療法の有効性が示されたことは、患者さんに新たな選択肢を提供できるという点で非常に意義深い成果です。

本治験で安全性と有効性が確認されたことにより、この治療法を実臨床で提供できる可能性が広がり、がん治療の選択肢を拡大するという意味で大きな価値があります。また、今後の適応拡大に向けた臨床研究の検討においても、重要な示唆を与える結果だと考えています。

患者さんやご家族に『新しい治療の選択肢がある』という希望を届けることは、医療現場において治療の提供とともに心理的な支えをもたらすという点でも非常に重要です。Alpha DaRT システムは、その希望を現実に近づける可能性を秘めています。

さらなる検証や長期的な安全性評価は必要ですが、今回の結果は今後の臨床応用に向けた議論を進める上で、大きな一歩になると確信しています。」


Alpha Tau Medical CEO ウジ ソフェル氏


「日本で製造販売承認を取得したことは、Alpha Tau Medical社およびAlpha DaRT システムにとって重要な節目となりました。今回、日本はイスラエル以外で初めて当社に製造販売承認を付与した国であり、頭頸部腫瘍領域における臨床知見を有しています。このプロセスにおいてご協力いただいたヘカバイオ株式会社、そして承認および今後のAlpha DaRT システムの日本での上市に向けて継続的にご支援いただいている6つの医学会に深く感謝申し上げます。

当面の重点は、日本の臨床医と連携し、市販後調査(PMS)を完了し、切除不能な局所進行または局所再発疾患の患者さんに関する臨床データを収集することです。並行して、Alpha DaRT システムの日本での保険適用に関する協議を厚生労働省と開始する予定です。

今回の承認は、Alpha DaRT システムのより広範な臨床評価に向けた第一歩であり、今後、追加の腫瘍種における使用を検討する臨床試験について、PMDAと協議できることを期待しています。」


ヘカバイオ CEO クレア ロバート エヴァンズ


「当社は過去7年間、Alpha DaRT システムプログラムに取り組んでまいりました。このたび、Alpha Tau Medical 社とともに日本で薬事承認という重要な節目を迎えることができ、関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。承認取得に至るまで、医療関係者、日本の規制当局の皆さまから継続的なご協力をいただき、この治療法の導入に向けた取り組みを進めることができました。

海外で開発された新医療機器が、米国や欧州に先駆けて日本で承認されることは珍しい事例であり、今回のプロセスに関わっていただいたすべてのパートナーの皆さまに心より御礼申し上げます。現在、当社はAlpha DaRT システムの上市に向けて準備を進めており、患者さんに新しい治療の選択肢を提供できるよう、引き続き努力してまいります。」


ヘカバイオ株式会社について

ヘカバイオは、2016年に日本で設立されたバイオ・メディカル分野のスタートアップとして、世界の先進医療技術へのアクセスを加速し、日本およびアジア太平洋地域における医療の質と効率の向上に取り組んでいます。

年間200件以上の製品評価を通じてグローバルな導入機会を創出し、米国との同時開発や加速審査制度を活用した迅速な薬事戦略を展開。製造・流通設備を持たず、パートナー企業のインフラストラクチャを活用することで、資本効率の高い商業化を実現しています。世界第三位の医療市場である日本を戦略的拠点として、アジア太平洋地域への展開を進めています。

 

Alpha Tau Medicalについて 


Alpha Tau Medical社は、2016年に設立され、固形癌の治療に焦点を当てています。その主力製品である「Alpha DaRT システム」は、テルアビブ大学のYona Keisari教授と故Itzhak Kelson教授によって開発されました。https://www.alphatau.com/


「Alpha DaRT システム」について


「Alpha DaRT システム」(Diffusing Alpha‑emitters Radiation Therapy)は、短半減期のラジウム224(Ra‑224)を金属製チューブ内の表面格子に固定したシード線源を腫瘍内に挿入して治療を行う医療機器です。挿入されたシードから放出される Ra‑224 の娘核種が腫瘍内で崩壊し、その過程で発生するアルファ粒子により腫瘍細胞の DNA 二本鎖が切断され、細胞死を誘導します。この治療法は、アルファ粒子の飛程が極めて短い特性により、周囲の正常組織への放射線の影響が限定的で、局所に治療効果が集中することが特徴です。

従来の医療機器では、アルファ線の飛程が非常に短いことから、腫瘍内で十分な線量分布を確保することが難しいとされていました。「Alpha DaRT システム」は、Ra‑224 の娘核種が腫瘍内で拡散する特性を利用することで、この課題を克服し、腫瘍内でアルファ粒子を効果的に作用させる新しいアプローチを実現しています。https://www.alphatau.com/Alpha DaRT-radiotherapy


※『Alpha DaRT』は、Alpha Tau Medical Ltd. が保有する登録商標です。



用語説明


(1)ラジウム-224(Ra-224)の概要

  • 元素記号・名称:ラジウム-224(Radium-224)

  • 原子番号:88

  • 半減期:約3.6日(比較的短寿命)

  • 崩壊系列:

    • アルファ崩壊によりラドン-220(Rn-220)を生成

    • さらに鉛-212(Pb-212)などの娘核種へ連鎖的に変化

  • 特徴:

    • 強力なアルファ粒子を放出

    • アルファ線は飛程が非常に短く、局所的なエネルギー付与によりDNA二本鎖切断を引き起こす

 

(2)ラドン-220(Rn-220)の概要

  • 元素記号・名称:ラドン-220(Radon-220)

  • 原子番号:86

  • 半減期:約55秒(非常に短寿命)

  • 崩壊系列:

    • ラジウム-224(Ra-224)のアルファ崩壊で生成

    • さらに鉛-212(Pb-212)などの娘核種へ連鎖的に崩壊

  • 特徴:

    • 放射性希ガスで、自然界ではトリウム系列に属する

    • アルファ崩壊により高エネルギーのアルファ粒子を放出

    • 半減期が短いため、存在時間は非常に限られる

 

(3)ポロニウム-216(Po-216)の概要

  • 元素記号・名称:ポロニウム-216(Polonium-216)

  • 原子番号:84

  • 半減期:約0.145秒(非常に短寿命)

  • 崩壊モード:アルファ崩壊


    → 娘核種は鉛-212(Pb-212)

  • 放出エネルギー:約6.9 MeVのアルファ粒子

 

(4)鉛-212(Pb-212)の概要

  • 元素記号・名称:鉛-212(Lead-212)

  • 原子番号:82

  • 半減期:約10.6時間

  • 崩壊系列:

    • ラドン-220(Rn-220)の崩壊で生成

    • アルファ崩壊またはベータ崩壊を経てビスマス-212(Bi-212)などへ変化

  • 特徴:

    • 固体の放射性元素

    • アルファ線およびベータ線を放出する核種で、トリウム系列に属する

    • 半減期が比較的短く、放射能は時間とともに急速に減衰

 

(5)タリウム-208(Tl-208)の概要

  • 元素記号・名称:タリウム-208(Thallium-208)

  • 原子番号:81

  • 半減期:約3分(非常に短寿命)

  • 崩壊モード:ベータ崩壊


    → 安定核種である鉛-208(Pb-208)に変化

  • 特徴:

    • トリウム系列に属する放射性核種

    • アルファ線は放出せず、ベータ崩壊のみで安定化

    • 半減期が短いため、放射能は急速に減衰

(6)鉛-208(Pb-208)の概要

  • 元素記号・名称:鉛-208(Lead-208)

  • 原子番号:82

  • 特徴:

    • 安定核種(放射線を放出しない)

    • トリウム系列の崩壊の最終生成物

    • 放射能を持たないため、長期的な放射線リスクはない

 

Alpha DaRT治療における崩壊系列と治療作用機序


  • 崩壊系列

Ra-224 → Rn-220 → Po-216 → Pb-212 → Bi-212 → Po-212 → Tl-208 → Pb-20(安定)

  • 治療効果の発現

    • ラジウム線源(Ra-224)の崩壊経路(Rn-220、Po-216、Pb-212など)から放出されるアルファ粒子により、腫瘍細胞のDNAの二重鎖切断を起こし、細胞死を誘導します。

    • アルファ粒子の飛程が極めて短く、治療の局所性が高いため、周囲の健常組織への影響は限定的です。

  • Pb-208の役割

    • 崩壊系列の最終産物であり、放射線を出さない安定核種です。

 

 

参考資料


D'Andrea MA, VanderWalde NA, Ballo MT, et al.

Feasibility and Safety of Diffusing Alpha-Emitter Radiation Therapy for Recurrent or Unresectable Skin Cancers

再発または切除不能な皮膚癌に対する拡散型アルファ線放射線治療の実施可能性と安全性

JAMA Network Open. 2023;6(5):e2312824. Published 2023 May 1.

 

Popovtzer A, Rosenfeld E, Mizrachi A, et al.

Initial Safety and Tumor Control Results From a "First-in-Human" Multicenter Prospective Trial Evaluating a Novel Alpha-Emitting Radionuclide for the Treatment of Locally Advanced Recurrent Squamous Cell Carcinomas of the Skin and Head and Neck

局所進行性再発皮膚および頭頸部有棘細胞癌に対する新規アルファ線放射性核種治療の初の多施設共同前向き臨床試験における初期安全性および腫瘍制御成績

International Journal of Radiation Oncology Biology Physics.

2020;106(3):571-578.

 

Popovtzer A, Mizrachi A, D'Andrea MA, et al.

Extended Follow-Up Outcomes from Pooled Prospective Studies Evaluating Efficacy of Interstitial Alpha Radionuclide Treatment for Skin and Head and Neck Cancers

皮膚および頭頸部癌に対する間質性アルファ放射性核種治療の有効性を評価した前向き研究の統合解析による長期追跡結果

Cancers

(Basel). 2024;16(13):2312.

 

Ryo-ichi Yoshimura, Kazuma Toda, Hiroshi Watanabe, Masahiko Miura, Ryoichi Notake, Naoya Murakami, Hiroshi Igaki, Satoshi Nakamura, Rei Umezawa, Noriyuki Kadoya, Keiichi Jingu & Jun Itami

Efficacy and safety of diffusing alpha-emitter radiation therapy (DaRT) for head and neck cancer recurrence after radiotherapy

放射線治療後再発頭頸部癌に対する拡散型アルファ線放射線治療(DaRT)の有効性と安全性

International Journal of Clinical Oncology. 2025;30(5):893-903.

 

 
 
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